第三章 リミットの果て ~呪詛~

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扉が音もなく開けられると、木下は中の様子を伺う為に覗きこもうとした。 その時、木下の時計のアラームが三時を告げた。 急に鳴り響いた電子音に、木下の心臓は跳ね上がった。 「……ふぅ、大丈夫。 俺は大丈夫だ……よし!」 一旦通路に戻って電子音を止めた後、木下が扉の隙間から、再度室内を覗きこんだ。 そこで木下が見たものは、瞬きすらしない見開かれた目……それが、扉越し僅か数センチの距離でこちらをじっと見つめていた。 「うわっ!」 木下は恐怖で尻餅をつき、後ずさると扉は静かに開き、豊田奈緒美が恐ろしい形相で見下ろしながら近付いてきた。 「と……豊田、め、めめ、目が覚めた……のか?」 恐怖で震えが止まらず、言葉すら上手く出てこない。 そんな木下を見下ろしていた奈緒美は、ニタリと不気味な笑みを浮かべ、気色の悪い笑い声を上げた。 「クケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!」 木下は身体の底から沸き上がる恐怖で金縛りの様な状態に陥っていた。
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