二人のバケモノ

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  ソレは驚いた 完璧に気配を消していたはず なのに 目の前の少女は見破った もしや目が見えるのかと疑うが やはりその目は光を写していない 怯えさせないよう慌てて人間の声を創る     …ゃ゛…やあ…私は…… …通りすがりの者だよ その…君があまりに濡れていたから…   ふと我に帰る 人間に話しかける事など無いと思っていた ましてや怯えさせないため? 僕はバケモノだ 人に災いを与える存在 ソレが思いを巡らせていると 少女はおかしそうに   私は…バケモノです 優しいのですね   衝撃をうけた 自らバケモノと名乗るこの少女に   僕も…バケモノだ   言って後悔する 後悔?なぜ後悔を?相手は人間なのに? 何故怯えさせないよう気を使う 私は何をしている? 落ち着け……   ―どうしてバケモノなんて言うんだい?   姿形がそうならともかく 目の前の少女はバケモノとはほど遠い   少女は苦笑し 言葉を出す    
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