二人のバケモノ

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  私は……目が見えません 世界の光 世界の色 それが無いのです けれど分かる 風の流れ 物の気配 そこにいるはずの無い者の吐息 だから見えなくても歩けるし 相手の位置も分かります 周りの人は…それが気味悪いと だからバケモノと呼ばれるのです   私自身気味悪いと思います そう言いまた苦笑する少女の体には 明らかに他人によるアザの後が沢山あった   この子は………   強い子だ…   やせ細りボロボロになった体からは 想像も出来ない   そうか…君はこれからどこに行くんだい?   どこに行こうかな… 家を 村を追い出されたので…決めてないのです 親切なバケモノさん 聞いてくれてありがとうございました   弱々しく微笑む少女 だから道無き道を歩いていたのか ほうっておけない 何故かそんな思いが体を巡る 私はバケモノ 彼女の目が見えないという事に 甘えて良いのだろうか? 人間が恐れをなすこの容姿を 見えないからと それは…… それはただの…     僕もついて行くよ       そして ばけものと呼ばれる少女と 人間に災いを与えるバケモノの 旅が始まる
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