葵と始点

15/25
前へ
/110ページ
次へ
「ありがとうございましたぁ」  私は扉を開けてあげ、帰って行くお客さんにペコリと頭を下げた。 私のバイト先であるダイニングレストラン『EDGE』は、今夜もお客さんが途切れることなく大繁盛だった。 駅から近くて駐車場も広い。 立地条件のよいこの店は、他の同業店と比べてぐんを抜いた集客力だ。  料理事態はベタ誉めするようなほどではない無難なイタリアンだったが、最近のレストランはカップルや女性客目当てで外観や内装がより重要視されてきている。 野菜や果物選びと同じく、レストランもまずは見た目ってことだ。  そこが有名デザイナー等に設計を依頼した当店の最大の強みであり、見た目の綺麗さがすべてと言ってもいい。  ‥だがこの店にはさらにもう一押しするイチオシポイントがあった。  前もって宣言しておくけれど、決して胸を張って言うようなことじゃない。   その答えは今の私の姿を見たら一目瞭然だろう‥。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加