葵と始点

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ピンクと白を基調にしたメイド服のような制服。  店長の趣向としか言いようのないこの制服目当ての男性客が、実はかなり大きなポイントだった。    一定期間毎に制服を替え、お客さんに飽きさせないように工夫もされている。  私個人としては、普段できないいろんな格好ができて楽しんで働いていた。 キャンパスからも結構離れているため、知り合いと顔をあわせることもあまりなく安心できる。 仕事とはいえさすがにこんな格好を見られるのは恥ずかしい。 行きたいと駄々をこねた柚真が店に来たとき、赤面した私は何枚も携帯で写真におさめられた。 あれは生きてきた中でもトップレベルの恥ずかしさだった‥。 それからしばらくの間柚真の携帯の待ち受けが、私のコスプレ姿だったのは消したい過去の1つだ。 「いらっしゃいませー!お1人様ですか?ご案内いたします」 1人の男性客が通された。 また制服目当てのお客さんだろうか?  チラっと今通された男性客に目をやると、見たことのある人物だった。 
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