葵と始点

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ポケットからハンディを取出し、変に意識しないようにあまり顔を見ないよう心がけ対応する。 「お待たせいたしました。ご注文お決まりですか?」 すると彼はまたヒョイヒョイっと手招きし、もっと近くに寄るよう促してくる。  まさか私‥コスプレフェチに気に入られちゃった!?  多少警戒しつつ近くによると、彼は一定の声の大きさとテンポで話し始めた。   「原田弥紗は何時まで仕事かわかる?」 「えっ?弥紗さんですか?」 咄嗟に視線を弥紗へ向けると、てきぱきと料理を提供しているところだった。 ‥てかこいつ弥紗さん目当てだったの!? 「‥?わからないなら他の人に聞くけど?」  市井は怪訝な表情で私を見つめている。 「あっ、23時にはあがるはずです」 不審に思いながらも、私はなぜか素直に質問に答えてしまった。 「そうか。ところで君は彼女と仲いいの?」 「特別仲いいわけじゃないですけど‥。普通にバイト仲間程度です」
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