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ぼやけた視界が徐々に鮮明になっていく。
ふと横を見ると、先ほどの声の主は不機嫌そうに私のことを見下ろしていた。
「あぁ‥柚真。何恐い顔してんの?しわになっちゃうよ」
私の無神経な言葉で柚真の顔はさらに強張り、私の頬をつねってきた。
「いひゃいって‥!うぅ‥うあ!いあぃ‥」
「ごめんなさいは?」
「うぅ‥ぉえんあさい‥」
私の言葉は日本語になってなかったが、どうやら気持ちだけは伝わったようだ。
柚真は頬から手を離すと、今度は私の手を握り強引に講堂から連れ出した。
「柚真ぁ‥私もう結構覚醒した」
早足で柚真に連行されていた私は、廊下の途中でやっと解放された。
ここに着くまでにいろんな所に体をぶつけてしまい、さすがに目も覚めるというもの。
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