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「は?」
大抵の一生の言葉を聞き流す俺も、流石に立ち止まって声を上げた。
「だから、朝食の時に言っただろう?」
立ち止まった俺を置いて、先を歩きながら一生が言葉を続ける。
「人間における害は必要無い。人間の生存を邪魔する彼らは、人間という体内に巣食う病原体だ。だからこそ、取り除くべきなのだ。彼らには命を諦めてもらうべきなのだ」
「また勝手な…」
「勝手?違うぞ次男。勝手は彼らの方だ。人間の邪魔は、例え人間であっても許されないのだからな」
「許されない?違うよ一生」
漸く歩みを再開させながら、俺は呆れた顔で口を開く。
「お前がただ『許さない』だけだ」
今度は一生の歩みが止まる。
俺はそれを抜かして歩を進めた。
「次男、それは一体何が違うんだ?」
背後から聞こえた間の抜けた声は、聞かない事にしておいた。
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