伝法屋一生という兄貴

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兄弟というのは、例え双子であってもそのクラスを分けられるものだ。 その例に漏れず、俺と一生も同じ高校内の別クラス。 誰が決めたか知らないが、俺にとってそれほど有り難い事は無かった。 念のため言っておくが、俺は別に一生が嫌いなわけではない。 ただ、長く一緒にいると頭がおかしくなりそうな為、適度な離別が必要なのだ。 「で、殺人鬼は四人って、伝法屋一生が言ったのか?」 教室で数少ない友人に今朝の話をすると、彼女、五郎丸禊(ごろまるみそぎ)は興味を持ったようだ。その話にすぐさま食い付いてきた。 「そうだよ。何でも、人間性の違いだかを見たらしくて」 「ほお。凄いな」 「さあ?俺にはよく分からない」 「俺にも分からない、が、奇人変人天才天災な一生が言うなら、まあ一理あるんじゃないか」 そう言って禊は口端を歪ませる。恐らく笑っているのだろう。 彼女、五郎丸禊は異色だ。 全身の火傷を隠す為の包帯の量と言い、男のような口調と言い、感情の読めない表情と言い、全てが異色。 だが、接してみれば存外話の分かる奴で、これ以上付き合いやすい友達はいないとすら言える。
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