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「8年前、とある研究所が消失した事件を知ってるかな?」
「あれだろ、確か…」
と、ハンスが考える素振りをしたので俺が答えた
「人神だ」
「あー…そうだったな」
バツが悪そうな顔をそむけ、雨宮が話を続ける
「消失の一年前に人神の元となる紅蓮種が作られた、その時はあくまでマグマ対応型の上位、というほどだった」
「では何故紅蓮種と呼ばれるようになったんですか?」
と、翔がいつものように熱心に聞くと
「蠱毒を知っているか?」
少し翔が険しい顔をしながらも答えた
「えぇ…昔の呪い、でしょうか?」
「毒虫を壺の中に入れてお互いを戦わせ、最後に生き残った毒虫を使役して相手を呪い殺すのだ」
雨宮の言葉に俺は寒気を覚えた
それは詩織たちも同様のようだった
そして予想の通りの言葉が紡がれた
「ようはそれのアラガミ版だ、そうして出来たのが紅蓮種だ」
そりゃ強い、つまりは強いアラガミを育て、それを紅蓮種と言ったのだから
「ノヴァの終末捕食、極東支部のあの事件より前にそれを行っていた事になるな、それゆえ今まで隠されていた…」
「ちょ…ちょっと待ってください!」
と、翔が慌てて話を止めた
「それはつまり人神をほっておいたら近いうちにまた終末捕食が起きるんじゃあ!?」
血の気の失せた顔で翔は雨宮に訴えた
雨宮は答えた
「あぁ…起きるだろうな」
言った雨宮さえ顔色は良くない、もちろん俺たちも
「しかし、今ならばまだ人神を討つ事が出来るかもしれない」
その言葉に、目に、強い意志が宿っていた
「支部から指令が出された、人神討伐部隊『紅蓮の咆哮』の結成を」
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