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少し痛いぐらいの胸を押さえて湊の目を見つめる
徐々に赤く染まる頬をちらっと見ながら
「いきなりなんだよ?」
質問に質問で返されてしまった…聞いてるのは私なのに
でもいないって直ぐに言えないのは好きな人がいるからなのかなぁ…
そんな事を考えていたら口が勝手に言葉を紡いだ
「私はいるよ…?」
あわわと内心焦りまくりだった
「へぇー…誰?」
そりゃ聞くよねー(汗)
「それは…内緒です」
人差し指を口に当て、しーってしてなんとか誤魔化してみるが湊は何だか遠い目をして
顔はのぼせたみたいに真っ赤だった
「湊?なんかしんどそうだよ?」
「何が?」
「顔赤い」
「部屋が暑いんだよ」
なんか誤魔化してると思っていたら湊が口を大きく開いて…
「は…くしゅん!」
と、盛大なくしゃみをした
風邪…だよね?顔赤いし熱あるんじゃ…
「大丈夫?」
「大丈夫、シャワー浴びて夜風に吹かれただけだ」
はい?って気分だった
だから思った事をそのまま口にする
「馬鹿!風邪引くって注意した人が風邪引かないでよ!」
言い過ぎたかも…とにかくベットに移さなきゃ
歩く手伝いをしてベットへたどり着く
横になった湊は赤い顔のまま荒めの息づかいになっていながら言葉を口にした
「悪い…風邪うつったら悪いし今日は帰れ」
「何言ってんのさそんな顔で」
私は冷やすものを求めて洗面所に向かって冷水とタオルを持って湊のいるベットに戻った
濡らして絞ったタオルをおでこにのせた
そしてちょっとベッドに座らせてもらう
「寝るまで側に居てあげるから寝ていいよ」
「本当に…うつるぞ」
眠気と対抗?してる湊が何だか可愛くてちょっと笑えてしまう
「別に湊のならいいよ」
聞こえたかな?でも寝息が聞こえるし寝ちゃったかなぁ
これでひと安心かな…
そう思ったら少し眠気が出てきた
「知ってる?人にうつすと早く治るんだって」
胸の鼓動が速くなる
ゆったりとした寝息をたてている湊の倍ぐらい速いのかな
湊の事を考えると、とくん、とくんとまた速くなる
そして湊の口に私の口が近づいていく…
その距離は近くて遠い距離、実際は約5cm
その距離が4cm、3cmと縮まっていき
湊と詩織の影が重なった
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