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(なんか、キズつくわ~…)
うち一応彼女やのに。
一番近い場所におるはずが一番遠くや。
所詮うちはマネージャー
共に戦うナインには勝てんのやなあ…
うちらしくもない寂しい気分のまま
ミーティングを終え帰り道を歩く。
よく考えてみたら
うちのチームは勝ったんや!
よかったやん
喜ばんと損損っ!
やったー…
とか思っても寂しい気持ちは消えない。
肩を落としたそのときだった。
「菜々香~今日は早いな」
「稜駿....」
稜駿がそこにいた…。
「今日の俺、カッコよかったっしょ!」
イェ~イ!
とピースして稜駿はニコッと笑った。
なんだか可愛くてこっちまで笑えてくる。
「何笑ってんだよ~」
稜駿はちょっと膨れると
うちから目を反らして言った。
「お前、すっごい応援してくれてただろ」
「え…聞こえてたん?」
「通じたよ。答える余裕はなかったけど」
心がぽっと温まった。
うち、ちゃんと彼女できとったんかも!?
お互いに自分で精一杯なようで
意外と通じあってた!
うちは嬉しくて、つい言った。
「完投祝いに明日2人でどっか行こうや」
「ダメ。練習」
やっぱりいつもの稜駿。
忙しいとか理由をつけて出掛けたがらない。
「じゃあ、いつならいいん?」
「そうだなあ…次、元太が打ったらな!」
「何やそれ!」
「あと...1年はかかるな(笑)」
「はぁ?あと1、1年も~?」
「あははは。すげぇ顔(笑)」
「笑うなっ!!」
稜駿と二人で、お喋りしながら歩いてると
こんな関係も素敵かなって思える。
でもな、いくらなんでも素っ気ないやん!
ひとつくらいお願いしてもええよな?
「りょーま?」
「ん~?」
「もっと愛しあいましょ!」
END
nextあとがき
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