33人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃあ、みんなグラス持って!20年前のひまわり組にかんぱーい!!」
カーンと心地よい音が部屋中に響きわたり、一気に賑やかになった。
「ネネちゃんも、まさお君も、ぼーちゃんも変わってなく良かったよ。正直、ホッとした。」
「風間君は、私達と別の小学校に行っちゃたもんね。」
「そうそう、ほとんど会えなかったしね。」
「うん。でも、やっぱりこのメンバーがいいよ!」
僕はみんなと違う小学校に行っていたから、なかなかみんなに会えなかった。
勉強が大変で遊ぶ暇もなかった。
だから、何も変わってなくて良かった。
やっぱりみんなかは、僕の一番の仲間だよ。
「懐かしいよね。ほら、“春日部防衛隊”とか言ったて遊んでたの覚えてる?」
「あー!やってた、やってた!誰だっけ?それ最初に言ったの?」
みんなの肩がピクリと動いた。
顔つきが変わり、今まで楽しげだった僕達の空気の中にピンと緊張の糸がはる。
「……しんのすけだよ」
僕はそっと口を開いた。
「そうか…しんちゃんか…」
「もう…どのくらい過つっけ?」
「わかんない…でも、すごく長い時間が過ったと思う」
「思い出したくなかったな…」
僕も思い出したくなかった。
何も変わってないと思ってたけど
変わってしまったことがあった。
一人たりない
きずかなかっただけなのか、きずかないよいにしていたのかは解らないけど
春日部防衛隊長にしんのすけが足りなかった。
「………」
沈黙が続く。
「…行ってみようか、あの場所に…」
なんの考えもなく、僕はボツンと口にした
みんなが、ゆっくりうなずいてくれたのを確認すると、僕達はそっと幼稚園を抜け出した。
10分もかからない
僕達がいつも遊んでいたあの公園には
そして、あの日
しんのすけが僕達の前から姿を消した場所には
最初のコメントを投稿しよう!