たりない一人

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僕達が公園に着いた頃には、もうあたりは暗くなっていた。 中に入っていく。 静かな闇に一人、先客がいた。 「…ひまわりちゃん」 ネネちゃんが、名前を呼んだ。 「あっ…みなさん…お久しぶりです。」 「ひまわりちゃんも来てたんだね…」 「はい、今日同窓会があるって聞いたから…それを伝えに…」 ひまわりちゃんの足元を見るとそこには、たくさんの花としんのすけの写真があった。 よみがえってきたあの日の記憶 忘れていたと思っていたけど、まだ鮮明に覚えていた。 あの日 しんのすけは、この公園に来ていて その帰り 突然突っ込んできたトラックに跳ねられ ここからいなくなった ママからその事を聞いたとき、最初は理解できなかった。 初めて、“葬式”というものに行った。 僕はただ、しんのすけは 眠っているだけなんだと 思ってた。 きっと明日になれば、しんのすけは幼稚園に来んだと思ってた。 でも、来なかった。 来なかった日の夜は必ず 自分の部屋で 電気を消して 誰にも見つからないようにして 泣いたんだ
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