たりない一人

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ひまわりちゃんの声で、僕達は一斉に顔を上げた。 その手には、小さな白い紙が握られていた。 「これ…お兄ちゃんがみなさんに書いたものです。 多分…これを埋めるためにあの日…ここに来てたんだと思います。」 僕は、ひまわりちゃんからそれを受けとると みんなの真ん中でそっと開いた。 そこには、紛れもないしんのすけの字で クレヨンで おもいっきり汚い字で “みんな ずっとずっと いっしょだぞ” と書いてあった。 その時、もうしんのすけのは僕達の前には現れないんだと思った。 20年の時をこえて、僕達はようやくその事を理解したんだ。 「来年も…また来よう…」 「うん…そうだね」 僕達は、公園をあとにした。 あの日の春日部防衛隊はもうそろわない。 だけど、 僕達はどんなことがあっても、 “ずっとずっといっしょ”なんだ END
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