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「……村の様子を見に行ったんじゃなかったの?」
「ああ。闇魔法を使って倒れてしまった子が気になってな。引き返して来たんだ」
あ、そう。そう返した俺から、親父は視線を外しリリアに移る。
「……君が《虚無闇弧》を使った子だね?」
「……はい」
心なしか、リリア気まずそうだなあ。きんちょうしてんのか?
あれ? でも待てよ。
「ちょっと待て! なんで父さんがそのこと知ってんだ?」
あの場にいたのは俺とディリーだけ。ディリーはその事について知っているわけもないので、俺が目覚める前に二人が会って話していたとしても、それはあり得ない。
村人が見ていたとしても、それこそ魔法の正体を知っているわけもない。そう思ったので率直に聞いてみた。
ややこしいことを考えていたが、極々普通の答えが返ってきた。
「何言ってんだお前? そんなの見てたからに決まってるだろ」
「へ?いつから?」
あまりにも当たり前の返答に拍子抜けしながらも、俺は再度訪ねた。
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