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「まさか君とこんな所で再会するとは思わなかったよ」
「シンさんのお父様って、やっぱり貴方のことだったんですね。ブライトさん」
リリアはベッドに腰掛け、ブライトは床に腰を下ろして、再開を喜んでいた。
しかし、本当に再開を喜んでいたのはブライトだけ。リリアは会いたくなかった。唇を噛み締める彼女はそう言わんばかりの表情である
「何年振りだ? 十年振りか? 初め見たときは誰かわからなかったが……随分と大人っぽくなったものだ」
言葉を発するのはブライトだけであり、リリアは一切自分から話そうとはしていない。ただ、聞くだけ。
「君がシンと同じ班になっているとは夢にも思わなかったよ。……皮肉なものだな」
だがそこでリリアは痺れを切らし、口を開いた。
「ブライトさん。私はあなた達と世間話をするつもりはありません。早く本題に入って下さい」
笑顔がまぶしい彼女からは想像することすら叶わぬ鋭い睨みと口調。
刃物のような鋭さに、ブライトは少し顔をしかめ、そうだなと言い立ち上がる。
「……君は気を失ってたから気づいて無いだろう。あの魔族がいたんだ」
その言葉を聞いた途端、リリアの顔がどんどん強張っていく。
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