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「……今のお前達がしってもどうすることも出来やしないさ」
「オルターナ将軍、それは…どういう意味ですか?」
その言葉にいち早く反応したのは、意外にもディリーだった。
「ブライトで構わんよ、ディリー君。……今の彼女を支えてやれるのはお前達だけだ。だから強くなれ、今私が言えるのはそれくらいだ」
親父はそう言うと俺とディリーの肩を、ポンと叩き宿の外へと向かっていった。
「オルター……ブライトさん、何話してたんだろうな。リリアに聞いてみるか?」
俺は止めとけと言ったが、ディリーは聞く耳持たずドアノブに手を掛ける。だが意外にもディリーは自分から手を離した。
「……泣いてる…」
「え!?」
俺は驚きつつ、扉に耳をつけた。そこで耳に入ってきたのは、リリアの啜り泣く音だった。
「ディリー……」
「どした?」
「俺達…強くなろう」
「…ああ!! 勿論だ」
この日はもう一泊宿に泊まることにした。外はもう暗くなっているからという理由もあったが、なにより今のリリアに何を言ったらいいのかわからなかったからだ。
俺とディリーはそのまま夕食をとった。俺達が出会って、初めて無言での食事だったが、お互い自分の中でいろいろ考え事をしていたので別に気にしない。
夕食をとった後、俺達は無言のまま自分の部屋に戻り、気づいたら意識は夢の中だった。
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