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馬車の中はとてつもない程の気まずい空気が流れていた。いつもならその笑顔でその場を和ませてくれるリリアだが、今はそのリリアが気まずい空気を発してると言ってもいいだろう。
二時間ほど経った後、俺はその気まずい空気に耐えられなくなり思い切ってリリアに話しかけた。
「リリア?」
「…はい」
「目、真っ赤だぞ」
「え!?」
俺の意外な言葉に驚いたのか、リリアは少し慌て始める。
「ああ、確かに真っ赤だ」
ディリーもこの空気に耐えられなったのだろう。今だ!とばかりに俺の後に続く。
「え、あの、これは、その……」
「はは、そうやって慌ててた方がリリアらしいよ。……親父とリリアの間に何があったかは知らないし、聞くつもりもない。でもさ、俺達は仲間だ。だから一人で背負い込まずにさ、もっと頼ってくれ、な」
「良いこと言うじゃねえか」
ディリーはそう言って、俺の肩に手を回してきた。
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