タクちゃん

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僕がその店にアルバイト面接を受けたのはほんの些細な偶然だった。 暗い空に真っ直ぐに立っている一本の電信柱… その電信柱に丁度目の高さに貼られている、今にも破れ落ちそうな張り紙がアルバイトを探していた僕の目に吸い込まれるように入ってきた。 『アカチャントレードします。スーパーカカシ』 「なんだこれ…」 その無機質な張り紙が一瞬にして僕の脳裏に張り付いて頭の中で反芻する。 「アカチャントレード?赤ちゃんを交換するってことか?どういう店なんだ。」 ぼくの目線はその張り紙に釘付けになっていた。 真っ赤な字で書き殴られたその張り紙は電信柱と一体化しており毎日登校していたにも関わらず今日まで気にもしていなかった。 『アカチャントレードします。』の張り紙の下の方へと目線を移す。 するとかろうじてアルバイト募集の文字が読み取れた。 「時給は…二千円!なんだよこれ!」 危ない謳い文句だと思いながらも僕は携帯を取り出して電話帳に登録していた。 「○○ー○○○○…スーパーカカシ…」 sisito.gorila-st88.nori@ezweb.ne.jp 自然と携帯の時間の文字が目に入って予鈴のチャイムが鳴る時間だということを今更ながらに気づいた。 「やっべ。」 僕は携帯をポケットに仕舞うと慌てて学校へと走り出した。
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