タクちゃん

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家に帰って自分の部屋の中で僕は電話帳の『スーパーカカシ』の名前を見つめていた。 「いったいどんな仕事なんだ…時給二千円なんて…」 僕は思いつく限りの悪どい事を頭の中で思い返していく。 人身売買、臓器売買、薬物売買、闇金。 高校生の僕が考えられる社会の闇などこんな物だった。 「時給いいんだけど結構やばいんじゃないか…どうしようか。」 ベッドに寝ころんで顔の前に携帯をかざす。 携帯の光が目に映りこんで顔も青白く照らし出していた。 その体制のまま目をつぶっていると深い睡魔が僕を襲ってくる。 思考が停止するギリギリのラインを行ったり来たりと繰り返す時間がだんだんと短くなっていくのを、まるで他人事のように見つめている自分がそこにはいた。 プルル… 不意な携帯の着信音で落ちかけていた僕の思考は現実世界に引きずり出された。 プルル… 携帯の画面にはアキラの文字が映し出されている。 僕は携帯を耳元に近づけながら通話ボタンを押す。 「もしもし、庵。」 「なんだよこんな時間に…」 時計を見ると0時を少し回った所だった。
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