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「馬鹿なことか…」
僕は小さく呟いた。
何日か前の僕ならばアキラと同じ考えだったに違いなかった。
しかし昨日ヤマセから教えられた事実は確かに僕のこれまでの生活を否定していた。
魂ってなんだろう…
漠然としすぎていて考えると頭が変になりそうだった。
人魂の様な物なのか…ましてや実態があるのかすら解らない。
それを生まれたアカチャンに移す?
考えるだけ無駄だった。
実際にこの目で見ても信じられるかどうか自信はなかった。
何かを考えるでもなく呆然としている時だった。
予鈴のチャイムが鳴ると同時にガラッとドアが開かれた。
「はい、席に着いたー!」
大きな声を出しながら教頭が部屋に入ってくる。
その後ろに女性が立っているのが見えた。
にわかにクラスがざわめく。
「はい、静かにー!」
パンパンと手を叩きながら教頭は声を荒げている。
クラスはだんだんと静けさを取り戻していく。
「吉野先生、こちらへ。」
教頭は壇上に彼女を招いた。
スラリとスレンダーな体系に小さな整った顔。
背中まで伸びた黒髪は艶を持ち、およそ美人とはこういう人の事を言うのであろうその容姿にクラスのみんながざわめきたった。
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