タクちゃん

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ガラガラと教室の引き戸がいきなり開けられた。 「はいはい!みんな席についてー!」 騒がしかった教室に教頭の大きな声が響きわたる。 バラバラだったクラスメートたちは慌てて自分達の席についた。 「はい席についたー。」 まだ少しガヤガヤしていたが教室内は落ち着きを取り戻しかけていた。 そんな中教頭は壇上に立ちしゃべり始める。 「おはようございます。今日はみなさんに悲しいお知らせがあります。」 一瞬教室がざわめいた。 ひそひそと女子がしゃべる声が聞こえてくる。 「みなさんの担任の清水先生ですが…昨日夜遅く亡くなられました。」 ウワーと一部の女子が机にうつ伏して泣き出す。 「大変残念です。皆さんにとっても大変尊敬できる先生だったと思います。惜しい人を亡くしました。…それではこれから黙とうを捧げたいと思います。」 教頭は教室内が落ち着くのを待っている。 教室は水をうったように静まり返っていく。 所々で鼻をすする音だけが聞こえてきた。 「黙とう…」 教頭は目をつぶり、頭を軽く下げる。 それと同調するように教室内の皆は亡くなったタクちゃんの為に黙とうを捧げた。
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