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何もよくないのによかったと思う俺は最低のクズだと自分でも思う。
涙も出やしない。きっと俺は悪魔だ。あぁ、誰か殺してくれ。こんな最低でクズな悪魔を殺してくれ!!
「ワカッタワ。」
……え?
俺が驚くより早く、目の前にあった肉塊の腕が首に張りついて締め上げ始める。
「がっ!?」
引き剥がそうとするが、力が強すぎて剥がせない。むしろ剥がそうとすればするほど、逆に力が込もってきてさらに締まる。そして当然呼吸も出来なくなっていく。
「ドウシテニゲヨウトスルノ?コロシテホシインデショ?ネェ、ソウナンデショ?」
「ぐっ、な、なんで……なんで動けてるんだよ母さん!?」
頭の中身を溢して、真っ赤に染まった髪と顔。完全に死んだように見えていたのに……でも紛れもなく目の前で締め上げてきているのは母さんだ。
「フフフ、ダッテ和樹ガコロシテクレッテイウンダモノ。ダカラ……イッショニ「お兄ちゃん」シマショウ?」
お兄ちゃん……そうか、俺お兄ちゃんしちゃうのか……母さんと一緒にお兄ちゃ…………ん?
「っておい!!お兄ちゃんしましょうって何!?意味分かんないですけど!?ていうか完全に雰囲気ぶち壊しだよ!!幻○殺し並みの破壊力だよ!!」
あまりにも意味不明な発言に流石にツッコんでしまったのだが…多分俺の言ってることも意味不明だと思う。その証拠に母さんは、まるで鳩が豆鉄砲を食ったかのような顔をして唖然としているし。
「エ……イヤ、ワタシガイッタワケジャナインダケド……」
そしていつの間にか俺の首から離れた手を振って事実を否定する母さん。……いや、流石にそれは無理があるだろ。
「嘘つけ!あれはどう聞いても「イッショニオニイチャンシマショウ?」としか聞こえないわ!!あとこの際だから言わせてもらうけどな……」
俺は身体を震わせながら、今まで雰囲気を考えてあえてツッコまなかったところを一気にツッコまさせてもらった。一緒にお兄ちゃんしましょうのせいだからな!!
「そもそも俺は口に出して言ってねぇ!!何で分かったんだよ!?あとアンタはもう死んでるだろ常識的に考えて!!どうやって蘇ってるんだおい!!一緒にお兄ちゃんしましょうとその他の今まで起きた全ての事柄を三行以内で説明しろおおおおおおおおおお!!!」
「はっ!!」
………………あぁ、なんだ夢か。
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