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とにかく俺の目を奪っていたのは寝顔の方だ。夏紀は母さんに似てると言ったところから想像出来るとは思うが、夏紀も結構美人である。
故にその寝顔は、まさに天使の寝顔と言っても遜色のない程のものだったわけで……だからこれにも見慣れてるはずなのに俺は毎回見とれてしまうのであった。
「……エヘヘ、お兄ちゃん……だぁーい好き♪…すぅ、すぅ……」
「…………全く、寝てるときは可愛いのにな。」
頭を撫でてやりながら静かにぼやく。起きたら可愛くないのかと言われればそうではない。ただ……ちょっと問題があるのだ。いや、ちょっとじゃなくて相当の問題なんだけど。というのは……
「んっ!……ぁっ……」
……これも日常の風景の一つになっている。夏紀は突然自分の身体を自分で抱きしめると、モゾモゾと動きながら悶え始めた。
「あんっ……お兄ちゃん、そんなにがっつかなくても私は逃げないよぉ~。」
「んふ……あっ、あっ……ひゃう!だ、駄目ぇ、そこばっかりいじめちゃ~!」
「お兄ちゃん……あっ、お兄ちゃんのが入ってくるぅ~。」
「お兄ちゃんっ……イキそう?イっていいよ!私の中に一杯出してぇー!!」
……え~と一応言っておくが、全部夏紀が見ている夢だからな?俺は妹を襲うなんて絶対しない。理性が崩壊しかける時は幾度もあるが……。
とりあえず俺は何かを成し遂げて満足そうな顔をしている夏紀の額に、でこぴんを食らわす。日常の風景とはいえ、これ以上聞いてたら俺の息子が炸裂しかねないので起こすことにした。
「ひゃう!?……あれ?ここは…………も、もしかして私さらわれた!?」
「えぇぇぇぇ!?なんでそうなるんだよ!お前の兄が目の前にいるんだから、ここがどこかすぐに分かるだろう!?」
「え?……あっ、そっか。分かった!こういうことだよねお兄ちゃん!」
夏紀は自信たっぷりの表情で、親指を立てて言った。
「お兄ちゃんもさらわれちゃったんだね。だってさっきまで私達ラブホテルにいたんだし。」
「な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だからなぁんでそうなるの!?普通にここが我が家で、お前の言うラブホにいたってのが夢だってことに気付けよ!!!」
「え……や、やだなお兄ちゃん……だってお兄ちゃん私のことやっと受け入れてくれたのに……」
「……残念だが、全て夢だ。」
「はぅっ!そ、そんなぁ……」
夏紀はがっくりとうなだれたが、これも日常なので気にしない。
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