それはある日突然に

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新しく始まった母さんの居ない生活。今まで当たり前だったことが当たり前じゃなくなったことは、俺達の生活に大きな打撃を与えることになった。 掃除、洗濯、料理は基本的な家事……否!基本中の基本であるにも関わらず、俺達は苦汁を嘗めさせられることとなる。 理由は簡単。やったことがないからだ。この時母さんの手伝いをしておけばよかったと今更後悔している自分がいたが、もう遅い。全部自分でやるしかなかった。 親父は仕事で忙しいけど、休日にはしっかり働いてくれる。俺も早く穴を埋めようと必死にやってるつもりだ。問題は弟の尚樹にあった。 「おい尚樹。お前掃除機掛けたのか?」 「へ?掛けろって言ったけお前?」 「……質問に質問で返すなよ。てか言わなくてもやれよ。」 俺が呆れるのも分かってもらえるだろ?こいつはとにかく動かない。というかまず手伝おうという概念がない。やっぱり兄想いの優しい妹が欲しかったよコンチクショウ!(泣) 「……ふぅ、母さんってこんなに苦労してたのか。」 家事を一通り終えてベッドの上で横になる。凄まじく疲れた……母さんは仕事に行きながらこんな大変な事こなしてたなんて驚きだ。こりゃストレスも溜まるわ。 「あ、やべ、学校の課題……やんな…いと、……」 忙しくてまったく手をつけていなかった学校の課題の存在を思い出すと、俺は机に向かっていったが………ハッと目を覚ました時には何故かベッドにインしていた。 一応課題を確認はしてみたが、予想通り殆ど手はつけていない。しかも昨夜の記憶も無い。一体俺の身に何が…… このまさかの不思議体験は、後2~3日は続くことになるのをこの時の俺はまだ知らない。
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