51人が本棚に入れています
本棚に追加
シクシクヒッシクシク…
そこは真っ暗で何も無い無(む)の世界。
目の前には大きな扉
その扉の前に少女はいた。
立ったまま顔は手で覆われて見えない。
背は小学生3年生位。
龍「ねぇ、君。どうかしたのかい?」
少女「…うん。」
見上げた少女の顔は目を見張る程可憐だった。
眼には涙を一杯ためて。
龍「なんで泣いてるの?」
少女「あの扉が開かないの…。だから、帰れないの。ヒック」
少女が指差した扉は重くて頑丈そうなもので、鍵がいくつもはめられていた。
龍「そりゃ、子供だけの力じゃ無理だよ。」
少女「そっかぁ…ヒク」
龍「…よし!お兄ちゃんと二人で開けたら開くかもよ?」
少女「うん」
泣いていた少女はコクンとうなずくと嬉しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!