第零幕 いい日旅立ち

6/14
前へ
/236ページ
次へ
船は港を離れ、そして見えなくなった。 冬の海は荒く、叩きつける風も冷たい。 金時計をポケットに納め、ベルトにチェーンを固定。 無くさないように、しっかりと。 今日は船内に一泊。 明日、十二月九日早朝に俺の新しい生活の場、初音島に到着する。 その後は風見学園へ向かい、保険医水越先生と学園長の芳乃先生に挨拶をして、教室へ案内してもらう。 んで放課後は、俺の身元引き受け人に面会して、挨拶、と。 大体のスケジュールを頭の中で整理。 先生曰く、頭は悪くないが、地理関係には逆方向に特化された残念仕様。 ……て、喧しいわっ! 懇切丁寧にかかれた地図を便りに、今夜の宿となる部屋に到着。 所要時間五十六分也。 えーと、地図によると、五分もかからない位置のはずなのになぁ。 これだけ方向音痴だと、泣きたくなるぞ。 クスンクスン。 これから、俺はどうなるのかなぁ。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

295人が本棚に入れています
本棚に追加