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教室前でこれまた待機。
あー、なんか微妙に教室内がざわめき始めたなぁ。
そろそろか。
「では、入りなさい」
担任の声。
引き戸に手をかけ、最低限の所作で教室内に入り、後ろについていた水越先生を締め出す。
「……小唄くん?
君の病気について、私から伝えることがあると、言ったはずだけど?」
背中にオーラを纏う水越先生。
これからクラスメートになる連中が、小さく悲鳴をあげる。
「やだなぁ、冗談に決まってるじゃないですか?」
爽やかに笑う俺の鳩尾に、正確無比なボディブロウを叩き込む暴力保険医。
「ふぅぐ……っ!?」
肺の中の空気を根刮ぎ持っていかれ、悶絶する。
や、やばい、息吸えない。
「えー、見ての通り、彼は病気よ。
突発的に変な行動をとるけど、引いたりせず暖かい視線を送ってあげてね」
……いや、それむしろ辛い。
いっそ蔑んでください。
「あと、軽い女性恐怖症もあるから、そのリハビリのために、女子の皆で彼に接してあげてください。以上」
え? そういうこと言う?
激痛で声が出せない俺を尻目に、悠々と教室を去る悪魔。
うずくまり、痛みに耐える俺にそれを止める術はない。
「大丈夫?」
女子の声。
あんまり大丈夫じゃない。
「背中、さすってあげるね」
いや、結構。
マジでやめて!
背中に、柔らかい手が触れた。
そう認識した瞬間、走馬灯のように、知らない風景がフラッシュバック。
ブツリと、
ブレーカーが落ちるように、
意し、きガ――
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