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キリキリ、キリキリ
軋む音が聞こえる。
キリキリ、キリキリ
軋んで、軋んで、軋んで、軋んで、軋んで
軋んで、軋んで、軋んで、軋んで、軋んで
軋んで、軋んで、軋ん――
「いい加減起きんかっ!?」
バコンッ
頭に、硬いものがぶち当たる。
それも面ではなく、点で。
「ふぐっ!? お、おおぉぉぉ~……」
眠りの縁から、一気に現実に立ち返るほどの痛み。
「先生ぇ、教科書の角は凶器だと、自分は愚考いたします」
痛む頭を擦り、顔を上げる。
いや、授業中寝こけてた俺が悪いすよ?
でもさ、瘤になったらどうすんだよ、この暴力数学教師!
「残念ながら、教科書ではなく出席簿だ」
余計悪いわ!
という突っ込みを、胸の内にしまう。
だって、ねぇ?
教室内からクスクス笑い声が聞こえてくるわけよ。
これ以上騒いだら、ただの晒し者じゃん?
誰だって、恥はかきたくないもので。
「気持ちはわからんでもないが、他の生徒の手前、居眠りさせてやるわけにはいかんのでな。
その上、」
数学教師の目元が、微かにひくつく。
周りを見ると、一部生徒もそんな感じだ。
数学教師がさん、はいと手を振ると、
『歯軋りがうるさいっ!!』
満場一致で突っ込みが入る。
おおっ! 皆いいノリだねぇ。
お兄さん、そういうの嫌いじゃないよ?
歯軋りか……
どうりで、あんな軋んだ音のする夢を見るわけだよ。
真面目に授業を受けるフリをしながら、こっそりと溜め息をついた。
……あの夢、ただの夢なのか?
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