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日の当たる表通りの喧騒も、何処か遠く聞こえる薄暗い裏通り。街の大きさに比例し迷路の様に入り組むこの空間の一角に、数人の男が倒れている。
「チッ……何でぇ、大して持っていやがらねぇな」
その倒れた男達から財布を抜き取っているのは、身の丈7フィートを優に超える大男。中身を確認しては自分の懐にしまって行く。
「持ってるガンも何だぁ? ジャンクばっかだな」
「な……何なんだよ! テメェは!?」
一人棒立ちしていた男が我に返り吠える。倒れているチンピラを率いていた頭だ。
「オイオイ……そりゃねぇだろ。お前等から絡んで来ておいてよ」
普通ならばこんな大男に喧嘩など売らないが、相手が一人だったのと全員が銃を持っていた事で気が大きくなっていたのである。結果子分共は銃を抜こうとした瞬間、鉛の塊の様な拳を喰らい沈黙する事となった。大男はそのみてくれだけでなく、踏んで来た修羅場の場数も素人のチンピラ風情とは桁違いだったのだ。
「う、うるせぇ! ……この野郎、ぶ……ブッ殺してやる!」
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