リム・ファイア

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 動く物は、床を転がる四つのケースのみ。少数とは言え、側面から攻撃を――少なくともこちらから――受ける心配は無くなった。  だが、たかだか回り込んで来た輩を数人始末した所で事態は好転していない。何か抜本的な対処が必要だ。  倒れた敵のボディチェック――主にキックやストンピング。簡単な上トドメにもなる――を済ませ、とりあえず火線に戻ろうとしたその時、足元に転がっている物を目が捉えた。  火を噴く度にヒヤヒヤさせられたPKP PECHENEG。見れば手入れされたてかピカピカで、200発のアモとリンクを収納出来るグリーンのボックスが装着されている。  給弾口に導かれたベルトリンクに繋がれた強力な7.62㎜×54Rが如何にも勇猛なオーラを醸し出している。  お世辞にも使い慣れたモノではないが、これを使わない手はない。大きくデザインの変わったキャリング・ハンドルを掴んで持ち上げ、マズル付近に配されたバイポッドを折り畳む。  ガッシリとPECHENEGを構えると、俺は来た道を戻らず、そのまま前方に突き進んだ。  暫く進んだ先を曲がれば、丁度相手がやろうとしたのと同じ様に側面に当たれる。  俺が仕留めてしまった為、連中が失敗したのは向こうも理解しているだろう。コーナーに差し掛かり、腰を落として注意深く覗く。  こちらを向いている敵の姿を確認出来たと同時に、この20分足らずですっかり耳に残った2バースト音が木霊する。  人の頭の位置に注意を払っていた為にほんの僅か遅れた射撃は、二発とも俺の右横を虚しく通り過ぎた。  俺もやや首を引っ込めるが、胸元で待機させていたPKPのマズルを突き出し、ピストル・グリップとボックスで保持しながらトリガーを引く。  フルオートでブレットが撃ち出される度右上に跳ね上がるのをコントロールしつつ薙払う様に目前の敵を葬ると、敵陣への突破口が開けた。  当然それは相手にとって阻止すべき事象。更に数人が俺の迎撃に参加するが、こちらはあくまで俺一人。本隊への攻撃をそれ程緩める訳にはいかない。  しかしおっとり刀の対応と、既に攻撃体制に入っていた俺とではその差は明らかだ。  AN94に載ったコブラのドットでも埋められず、最も速い左のGEPARDロングから優先度順にバースト射撃を叩き込む。  粗方静かになった所で味方からの援護、それを超えた猛攻が入る。  今度は連中が逆に釘付けられる形となった。
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