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そこにいたのはでっかい牝馬(めうま)だ。
うちの近くに住んでいるコナーさんがたくさん飼っているうちの一頭で、
シートと呼ばれている。
体が真っ茶色で、
首のまわりから胸と腹にかけて生えている白い毛が洗い立ての大きなシートのようにみえるからだ。
シートはうちにいる牝馬の中でいちばん大きいんだと、コナーさんは父さんに話していた。
おまけに乳の出もいちばんで、
アイルランドで開かれる今年のサマー・フェアの品評会に出すらしい。
ぼくがかけ寄ると、シートはまたすごい声をあげた。
近づいてみてやっと、そのわけがわかった。
シートはでかい体を大きくいきませて、子馬を産みおとそうとしていたのだ。
ころんでけがをしたのだろう、前脚から血を流している。
口のまわりは黄緑色の泡がびっしりだ。
ぼくは手をのばして頭をなでてやろうとした。
しかしシートは気が立っていて目玉をぎょろぎょろさせているし、息をするたびにすきま風のような音をさせている。
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