おいでませ異世界

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俺は女の子を指差しステージアと呼んでみると笑顔で頷く女の子。 やはり名前で正解だったようだ。 ステージアか、なんか外国人みたいな名前だな。 そう思いつつも名前を教えてくれたのだから此方も教えなければと、自分を指差し先ほどのステージアのように言う。 「鈴木芹耶、スズキセリカ」 教えるがステージアは今いち理解し難いらしい。 「すす…せり?」 分かりにくそうな難しい顔をしている。 ふむ、フルネームだと呼びにくいのかと思い名前だけで告げてみる。 「芹耶、セリカ」 自分を指差し言い直すとステージアは笑顔に戻りセリカ、セリカと俺を指差し呼ぶので笑顔で頷き返した。 ここに迷い込んで数時間、初めてちゃんとしたコミュニケーションを取れた俺はなんだか嬉しくなってしまった。 やはり言葉の壁は大変だななどと思っていたがステージアの笑顔を見ていると、こうして一つ一つ手探りで近づいていくのも悪くないと思うようになり始めていた。 数時間後、俺はステージアに少ないながらも言葉を習おうと試行錯誤していたが、発音なのか何なのか全く覚えることができないながらもステージアには身振り手振りで自分の意志を伝えられる程度には仲良くなっていた。
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