番外編~二人の結婚式~

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「城使わせてくれてありがとうございます」 頭を下げる芹耶。 しかし、下げられたその表情は微妙なものである。 実際、結婚式は宿屋を借り切って行うつもりでいたのだが、リーガルの「自分も出席するぞ!」発言により警備の観点から宿屋は却下。 様々な駆け引きの末に城での挙式となった経緯があった。 半ば強制的に決まったこととは云え、王城でやることになったからには主であるリーガルに礼を言うのは筋である。 それにステージアも喜んでいたので一概に悪い事とも言えない。 そんな心の葛藤が、頭を下げつつも微妙な表情を作り上げていたのだ。 「あ~、そんなに畏まらんでくれ。 今回は私達も出席したかったから城になっただけだ」 「そうですよ。この人の我が儘が原因なんですからセリカさんは気になさらないで下さいな」 柔らかい微笑みを浮かべるリーガルとカプリスだが、その内心には芹耶をシエンタに囲い込む事が出来た喜びに溢れていた。 此処が誰も居ない部屋だったならば小躍りしている程だ。 しかし、そんな内心を微塵とも表面に窺わせないのはさすが国家間の駆け引きに慣れた王族と言ってよいだろう。 「セリカ様……結婚されてしまわれるのですね…… 私は構いませんので、是非とも側室に―――」 「なぁぁぁにうぉ言ってるんだルーテシア! 一国の王女が側室は有り得ないだろ!」 「だから私は構いませんと―――」 「私が構うんだよぉぉぉぉ!」 叫ぶリーガルに「若いって……」などと呟くカプリス。 その様子に王族としての威厳は微塵も感じられない。 ただの親の姿であった。
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