18

17/25
前へ
/536ページ
次へ
電光掲示板が、私の搭乗する飛行機の出発時刻を告げる。 少し早いけど、検問を通ろうかな。 私は荷物を持つと立ち上がり検問ゲートに向かおうとする。 その瞬間。 誰かが私の腕を掴んだ。 私は驚いて後ろを振り向く。 同時に包む温かな感触。 覚えのあるコロンがふわりと漂った。 「…本当に」 私を抱き締めたままその人が息を乱しながら呟く。 「本当に、サキちゃんは…ちゃんと別れを告げてから行きなよ。 ママがめちゃくちゃ心配したんだぞ」 やや怒ったようにそう告げたのは。 イクミ。 その人だった。
/536ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9556人が本棚に入れています
本棚に追加