02 悪夢のはじまり

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   私のそんな思いとは裏腹に、彼女は更に言葉を続ける。 「勿論、タダで実験に協力しろとは言いません。もし三日後貴方達が生き残っていたなら、その協力に感謝して――」  春風さんが指を鳴らすと、白衣の男が小さな台車を押して舞台中央にやってきた。 その台車の上には、ピラミッド状に積まれた札束。それを見た生徒達がどよめく。 「一億円、お渡しします」  不思議なことに、一億、という言葉は、ゾンビという単語以上に現実味がなかった。 一億、って一万円札が何枚必要なんだろ。 「……ねぇ、なんだか怖い顔してる人がいるよ」  美咲の言葉を聞き辺りを見回すと、少人数だが一億という金額に魅せられた生徒がいるようだった。 ほとんどはその話に半信半疑か、パニックを起こしてそれどころじゃないかだ。  しかし本当に一億円貰えるとしても、こんな実験からは辞退したい。命は金で買えないのだ。 大体、一億なんてとんでもない金額を言うくらいだ、向こうは誰も生き残らないと思っているのだろう。  そこまで思考を巡らせて、ふと気付く。 もし、仮に生き残ったとしても、一億なんて本当に渡すとは思えない。それどころか、口封じに殺される可能性すらあるのだ。  だとすると、私達は三日以内にこの学校から逃げなければならないのか……
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