02 悪夢のはじまり

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   体育館から正門まで行くには、グラウンドを突き抜けなければならない。 私は美咲を引っ張りながら、正門に向かって真っすぐ走っていた。熱い頬を撫でる風が、少し心地好い。  私の前に人はおらず、少し後ろに視線を向けると大勢の生徒がついて来ている。 ……漫画でよくあるドドドドという効果音が、本当に聞こえるとは思わなかった。  そんなことを考えている間に、私達は正門が見える所まで来る。が、私はそこで愕然とした。 「なにこれ……」  門に幾重にも巻かれた鎖と、大量に付けられた南京錠。今朝ここを通った時には、こんな物はなかったのに。これでは、門を開けることが出来ない。 振り返ると、生徒の大群が近づいていた。もうすぐこちらにたどり着くだろう。 「ど、どうしよう……」 「裏門、行こう」  そっちなら開いているかもしれない、というと彼女は頷いた。私達は再び走り出す。 「特別棟の裏、回って行こう」 「う、うん……」  美咲は疲れているようだった。それはそうだろう、普段から部活で体力を作っている私と違って、彼女は帰宅部なのだ。 「待って!」  急に腕を引かれ、立ち止まる。振り返ると、美咲は正門を見ていた。私も同じく正門に視線を向ける。  正門の前は生徒でごった返し、悲鳴や怒声で溢れていた。デパートのバーゲンセールや、スーパーのタイムセールを連想させる様だ。 よく見ると、その中の数人が人を踏み台にして、正門をよじ登っている。緊急時とはいえ、無茶苦茶だ。
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