変化

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「本当に夜兎じゃないんだな…」 「お前の中の夜兎がこんな乱暴な奴だと言いたいわけ?」 オレの夜兎は人一倍お人好しだぜ 誰よりも繊細で孤独で、人に愛されない可哀想な奴なんだ… だから大切だと思った奴を心から大切にする 心から信頼し心から求める それが夜兎なんだ… それなのに 「お前は何を見てたんだ…夜兎が泣いてお前たちに好きだと伝えたのが偽りだとでも?」 お前達に会える事を生き甲斐にしてた事が偽りだと お前達と話せる事が最大の幸せだと思っていた事が偽りだと 「泣き方を知らない夜兎がお前に泣いて縋った事が偽りだとでも言いたいのかっ!!」 感情が押さえきれなかったオレは西浦の顔を殴っていた 口の端から流れる赤い雫 それを拭いもせずに悲痛な面立ちでいる西浦を オレはただ睨み付けた なにも言わない西浦にオレは溜め息をついてその場を後にした 午後の授業はあれ以来何事もなく終わった オレ達が起こした騒動で教師が必ずいたからだ 静かなクラスに薄い笑みを浮かべオレは学校を出た  
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