表裏

2/26
前へ
/295ページ
次へ
「謝らないで、貴方は何も悪くない。」 きっと俺は上手く笑えてない そう思ったら貴方は近付いて来て俺を強く抱き締めてくれた 胸が苦しい なのに何でこんなに気持ちが良いんだろう 「呼んでくれ…俺の名前。」 「いいの…?」 許してくれるの? こんな俺が誠の名前を言っても… 「友達だろ?」 「……っ」 また友達だって言ってくれるのっ? 「うん…うん…っ」 これで嫌われても離れて行っても俺、その言葉だけで嬉しいよ 上辺でも構わない 「友達…誠は……俺の友達っ」 肩下に顔を埋めて涙を必死に堪えた 涙もろい奴だって思われたくなくて 鼻の奥がツンとして痛いけど こんな痛みなら全然平気だから… 涙を堪えた事なんて無いから目を強く瞑って頑張って 誠の服もそれに比例して強く握った 「何、お前らってそーゆー関係なわけ…?」 そんな時に聞こえた声 俺は顔を上げた 「……進士。」 誠も顔を上げて名前を呼ぶ 俺のもう一人の友達を… 「成る程ね……抜け者にされたのはお前らがくっついたからだったんだ。」 「ちが…っ」  
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加