表裏

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息を切らせ廊下と階段を走る 裏庭までずっと痛かった身体は不思議と痛くない 足も違和感程度になってて 不思議な事ばかりで頭も混乱して来た… だからなのかな 一度もした事が無かった無断欠席を、衝動でしてしまった 上履きのまま靴に履き替える事も忘れて走った 気付けばビル街に来ていた 「夜兎っ!!」 場所が解らないけど兎に角走っていた時、俺の肩を掴んで止められた 息を切らせて、汗を流しながら誠は俺を追い掛けて来てくれたんだ 「ま…こと…」 「あれぇ?月兎君?何してるのこんなとこで。」 誠の顔を見上げた時背中から知らない声がして、反射的に振り返った 見れば優しい顔をしたスーツ姿の男性 見覚えはないし、名前も違う “月兎” 何か大切な… 「あんた何でその名前知ってる。」 思い出そうとした瞬間、誠は俺を背に隠した まるで威嚇する様に低い声を出しながら 「え、だってそこにいる子家の居候だもの。」 「は?」 誠も俺も頭を捻らせる 居候… 俺が? 「僕は君自身から拾ってくれと言われたよ、でも…雰囲気が違うね。」 俺じゃない誰かが… 待って…解らないっ  
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