表裏

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《オレは夜兎の逃げ道になる。》 ふと、声が聞こえた… 《ずっと…ずっとずっと夜兎と居るよ。》 夢… アレは、いつか見た忘れていた…夢 《……なら…名前を呼んで…頑張れなくなったら…》 壊れそうになったら… 逃げたくなったら… そう言って… 《忘れないで…》 笑った… ずっと側に居るって 道を間違えても見放さないって 《オレは月兎…》 「つき…と…っ」 自然と涙が零れた 彼は優しい微笑みをくれた 偽りじゃない優しい言葉を 飾りじゃない真実の言葉を… 「ごめん……ごめんね…っ」 自分の胸を強く握って呟く 優しい彼はずっと居るって… 忘れないでって言ってたのに 側に居るって言ってくれたのに…っ 「…俺……っ」 「夜兎君、泣かないで。」 俯いて強く瞑った目 いつの間にか隣に来ていた山岸さんが顔を上げさせた 自然と開かれる目をただ真っ直ぐ見てた 「きっと月兎君は、君に泣いてほしくない…月兎君は君の幸せだけを願ってるから。」 幸せ… 罪深い俺に… 「俺…幸せになんかなっちゃ…駄目なんですっ」  
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