282人が本棚に入れています
本棚に追加
目を見開かせるのは今度は俺の番だった
会って間もない人なのに…
なのにこんなにも
「わわっ!や、夜兎君?」
こんなにも嬉しい言葉をくれるなんて思わなくて
だから俺はついその身体に顔を埋めた
落ち着く優しい人
「ありが…とっ」
再び涙が流れた為に拙い言葉を言うと
あ…別の意味で泣かせちゃった
なんて言うから、つい笑いが込み上げて来て
頬の骨格が上がってしまった
「さて、なら前言撤回してもらおうかなっ」
頭を撫でられて発せられた言葉に顔を上げて首を傾げる
「夜兎君が産まれちゃいけないなんて寂しい事、撤回してもらわなきゃ。」
さも当然だと言わんばかりの言葉に口を開けてしまう
そんな事…言ってくれる人が居たんだ…
「あ…えっと…」
「ほら、言わなきゃデコピンだぞ。」
顔を覗かれ、まるで悪戯を思い付いた子供の様に笑っている
そんな顔をされて、また自然と笑みを浮かべてしまう
あぁ、本当に山岸さんは優しい人なんだって思ったら、当たり前の様に口が開く
「ごめんなさい。」
今までとは違うごめんなさいって言葉が出て来て
とても不思議な出来事だって思った
最初のコメントを投稿しよう!