表裏

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そんな事が有ってから、急に我が家の猫がねなんて山岸さんが言い出して それを面白く聞かせてもらっていた 気付けば時間は夕方の6時 慌てて俺は立ち上がった 「か、帰らなきゃ…っ」 また怒られる きっと俺の顔は青い 「そんなに慌てて、どうした…?」 誠はつられた様に立って俺の手を取る だけど、言えない… 「い、家の用事が…」 「いつもだよな?朝も遅れた時だって、学校が終わってからだっていつも家の用事。」 だって誠に嘘は言いたくない 誠は大切な人だから… でもそれ以上に関係ない事で不快にさせたくない 「やらなきゃいけない事沢山有るから、だから…」 「いつもこんな早くから帰ってしなきゃいけない事って有るのか?」 「青い顔しながら帰ってやらなきゃいけない事ってどんな事?」 その言葉にドクンと嫌な心臓の音がする 誠に続いて山岸さんまでもが言う 「言えない…っ」 困らせたくない 不快にさせたくない 「なんで?」 「……っ」 肩を捕まれて振り向かせられる 真剣な顔の誠 嘘は言いたくない… そもそも思い付かない…  
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