表裏

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「少し…長くなります。」 そう前置きを置いてから話し始めた 「俺は言葉が解るか解らないかって頃、鳥類の声が聞こえて来る事に気付きました。」 まだ記憶が有るか無いかのギリギリの時だった それを母に言った事を覚えていた 最初に聞いた言葉は“夜兎の父ちゃんが浮気してるよ” 「浮気なんて言葉知るはずも無くて、母に聞いてみたんです…“パパが浮気って何?”って、子供って怖いですよね…無知は…怖い。」 母はそれから俺に愛を注ぐ事はしなかった 理由が解らないまま食事もままならない事になってしまった それから暫くして兄は高校生、弟は小学生の六年になった 俺は中学生になった時… “兄さんは男が好き” “母親は弟が好き” “弟も母親が好き” 俺の知らない事は当たり前に伝えてくる あいつ今何してる、そいつさっき何してた 名も知らない人の情報まで耳にして 俺は兄や弟は大切な家族で兄弟だと思ったから だから俺が止めなきゃって… 「だから言ったんです、今が良くても後困るのは二人なんだと…」 でも当たり前に、弟は俺を殴った  
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