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いつしか鳥達の言葉を聞かなくなった
気付けば自分の言葉を忘れていた
表情の作り方も解らない
感情の押さえ方も出し方も
何もかも見失った
だけど必要無かったから、何も困らなかった
「でも、誠達に会って…変わったんですよ。」
笑う事、話す事、信じる事…
全部が新しくて全部が楽しくて
もう何もいらないと思えました
沢山傷つけて、迷惑を掛けて、裏切っちゃったけど……
でも俺…
「沢山の幸せを貰えたんです…。」
きっと笑えてる、だって胸が暖かいから…
「……だから…だから毎日あんなに…?」
「うん…やらなきゃ痛かったから…食事が少なかったのは、お金貯めなきゃ学校行けなかったし…。」
苦笑を浮かべて誠の言葉を返した時
山岸さんは何かを考えてから俺の顔を見た
「あの救急箱はどうしたの?」
「え…?」
救急箱……って…
「あ、言って無かったね、今月兎君は僕と一緒に暮らしてるんだよ。」
「……は?」
開いた口が塞がらないとはまさにこの事
誠に至っては声まで出してしまっていた
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