表裏

23/26
前へ
/295ページ
次へ
知らない道なのに知ってる道 見慣れない風景なのに見慣れてる風景 これはキミの記憶なんだね? 月兎… 「此処が僕の家だよ、人は僕しか居ないから気楽にしてね。」 カチャリと軽快な音がなり扉が開く 大きな一軒家 「一人暮らしにしてはデカいですね。」 玄関で立ち止まり中を見渡す 誠は呆けたまま圧巻の言葉を紡いだ 確かに大きい… 「猫が沢山居るんだ、まだ欲しいぐらい。」 そう言われて下を見れば出迎えの猫達 《オ帰リィ》 《オ腹空イタヨー》 嘘だ…聞こえる… 鳥達だけじゃない… 猫の…他の動物まで聞こえるなんて…… 「聞こえるかい?」 一匹ずつ頭を撫でながら山岸さんは俺に聞いて来た 解ってるんだ 月兎の時も聞こえていたと… 「お腹空いたそうですよ。」 苦笑しながらも、聞こえている事を遠回しに伝えた 「あ、やっぱり?じゃあご飯食べようねぇー。」 その言葉に喜ぶ猫達は山岸さんに付いて行く ただ一匹…黒猫だけを残して 《月兎ハ何処?貴方ハ月兎ジャナイ》 尻尾をユラユラと揺らして呟く 感の鋭い猫だ…  
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加