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俺は目線を合わせる様に屈んで頭を撫でた
「月兎は休んでるよ、俺の中で…」
そう言えば黒猫は興味を無くした様に山岸さんの所へと向かって行った
あの子は俺じゃなくて月兎を待ってたんだ…
俺の中に居る別の人格
もう一人の俺を
ごめんね……
此処は俺じゃなくて月兎の帰る場所だと気付かされた
暖かい場所
優しい場所
月兎が見つけ出した居場所
月兎が手にした居場所
俺じゃ手に入れられなかった優しい場所
そんな月兎の居場所を
俺が奪った気がした……
「夜兎、どうした…?」
隣に居た誠が俺の頭を撫でながら問う
それに緩く首を振った
何もないと伝える様に
誠は眉を寄せて見つめるだけで何も言わなかった
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