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俺は通されたオレの部屋に居た
誠は隣に居る
山岸さんは明日誠のベッドを買いに行くと言っていた
今は元々有った布団で休んでる筈
「此処も何処か見覚えが有るな…」
ベッドで寝た事なんて無いから少し楽しみだったけど
扉の前で俺は立ち止まったまま動けない
理由は
此処は俺の居場所じゃないから
「月兎…」
キミの方がこの世界を
俺の身体を
上手く使って生きられるよ…
キミなら声も無くさなかった
表情も生き生きしていて
嫌われる世界を見なかった
「この身体をキミにあげようか…?」
目を閉じ胸に手を当てて問い掛ければドクリと高鳴る
〈負けないで…〉
そう言われた気がした
「………。」
顔が歪んだ
訳も解らず涙が出そうになった
強いキミと 弱い俺
綺麗なキミと 醜い俺
賢いキミと 馬鹿な俺
好かれるキミと 嫌われ者の俺
この世界に認められたキミと
この世界に拒絶された俺
どちらが相応しいか考えなくても解るのに
キミはそうは思わないんだね…
力無く座り込んだ俺は膝を抱えて膝に顔を埋めた
「俺は……」
消えたいのかもしれない……
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