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「夜兎?帰ろうか。」
いつの間にか終わっていた授業
誠は鞄を既に持っていて、俺の近くに居た
「あ…うん、今支度する。」
「……それ……。」
誠は悲痛な面持ちで俺のノートと教科書を見ていた
それにつられて俺も視線を落とす
「大丈夫だよ、中学の頃より見易いから。」
文字も読めるし、何が描いて有るか解る
ノートだって全滅してるわけじゃないし…
「俺の余ってるノートやるよ。」
「大丈夫、まだ使える。」
本当にまだ使えるし、気を使って言ってくれた事だろうけど
迷惑は掛けたくなくて言った
だけど誠は顔を歪めて“そうか…”とだけ呟くだけだった
「あの、本当に大丈夫だよ?馴れてるし、困ってないから。」
「大丈夫じゃねぇよっ!!」
突然響いた誠の声に周りはシン…と静かになった
「……ごめん…行こうか。」
「…う…うん…」
誠は顔を背けていた
慌てて、だけど静かに荷物を纏めて立ち上がった時
背中に強い衝撃を感じた
「うぁっ」
「夜兎っ!!」
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